アフガニスタン・カブール、イラン、パキスタン、中国、インド
アフガニスタン・カブール、イラン、パキスタン、中国、インド
15日、カブールのアフガニスタン大統領府を占拠した反政府武装勢力タリバンの戦闘員ら(AP=共同)
15日、カブールのアフガニスタン大統領府を占拠した反政府武装勢力タリバンの戦闘員ら(AP=共同)
アフガニスタン・カブール、イラン、パキスタン、中国、インド
15日、カブールのアフガニスタン大統領府を占拠した反政府武装勢力タリバンの戦闘員ら(AP=共同)

 【カブール共同】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは15日、首都カブールを制圧して勝利宣言した。ガニ大統領は国外に脱出し、民主政権は瓦解(がかい)。タリバンが政権を掌握し、2001年の米中枢同時テロ後の米英軍による攻撃で旧タリバン政権が崩壊して以来約20年ぶりに復権した。タリバン側は16日、政権を整える前に「全ての駐留外国軍の撤退を望む」と主張した。 (3、6面に関連記事)

 

 旧政権時代、イスラム教の厳格な適用を主張して女性の権利を抑圧するなど恐怖政治を敷いただけに、人権侵害への懸念が広がっている。

 ブリンケン米国務長官は15日のCNNテレビの番組で、米軍がアフガンにとどまることは「国益に合わない」と強調。4月下旬に開始した駐留米軍撤退は予定通り8月末までに完了させる方針を示した。米メディアや議員から拙速な撤退がアフガン政府崩壊を招いたとバイデン大統領への批判が噴出。テロ組織が再び台頭する恐れも強まる。

 米国務省は15日、アフガンでの市民の保護や外国人の安全な退避を求める日本や欧米各国など約70カ国による共同声明を発表した。国連安全保障理事会は16日、アフガン情勢に関する緊急会合を開き、対応を協議。菅義偉首相は16日、米国などと連携し対応していると表明した。

 タリバンは米軍撤退完了を前に全土で猛攻を続け、15日にカブールに進攻、大統領府を占拠した。中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、タリバン幹部バラダル師は「比類なき偉業」を達成したと勝利宣言し、国民の期待に応えるよう取り組むと表明した。タリバンの報道担当者は「アフガン戦争は終結した」と語り、孤立を望まず国際社会との関係を構築したいと述べた。

 バイデン政権は在留米国人の安全確保のため12日からほぼ連日、米軍増派を決定。駐留規模は一時的に6千人となる計画で、撤退開始時の約2500人から倍以上に膨れあがる皮肉な結果となった。カブールの米大使館員らは15日に退避を完了。日本政府も大使館員を退避させる。

 タリバンは6日から州都を次々攻略。19年に福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表、医師中村哲さん=当時(73)=が殺害されたジャララバードも陥落した。

 日本は02年と12年にアフガン支援国会合を開催するなど復興プロセスに積極的に関与してきた。01年以降の支援実績は20年11月現在で約68億ドル(約7400億円)。21~24年分として、さらに7億2千万ドル規模の支援を表明していた。