政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は18日の衆院内閣委員会閉会中審査で、検査不足のため実際の感染者が発表されている数より多いとの認識を示した。全国的な感染拡大について、デルタ株と国民の「コロナ慣れ」が主な要因だと指摘。「社会全体が感染対策に協力する状況になっていない」と述べ、政府に強いメッセージ発信を求めた。
検査に関し「供給が間に合っていないのに加え、一部の方が積極的に受けようとしない」と懸念を表明。「報告されているよりも、感染者はもう少し多いと思う」と語った。
感染拡大を抑止するための対応として「医療体制の強化と人流の5割削減に向け、国と自治体が現状は災害なんだという強い思いでやっていただくことが非常に重要だ」と強調した。
厚生労働省は、コロナに感染し自宅で亡くなった人が1月から今月16日までに全国で91人に上ると明らかにした。共産党の塩川鉄也氏は自宅療養を基本とする政府方針の見直しを迫ったが、西村康稔経済再生担当相は「若い人で重症化リスクがなく、1人暮らしならば自宅療養でも大丈夫だ」と答えた。
厚労省の山本史官房審議官は、コロナ患者を対象にした抗寄生虫薬「イベルメクチン」の使用に関し「治験結果を踏まえ、今後承認申請がされた場合には、優先かつ迅速に審査が行われる」と説明した。西村氏は、関節リウマチ薬「アクテムラ」の使用についても同様の見通しを示した。
塩川氏のほか、自民党の冨岡勉、立憲民主党の今井雅人、吉田統彦各氏への答弁。