第27回参院選が3日、公示され、17日間の選挙戦に突入した。衆院で少数与党の中、与野党とも事実上の「政権選択選挙」に位置付け、4度目の合区選挙となった鳥取・島根合区選挙区(改選数1)は、新人5人が立候補を届け出た。物価高対策や「政治とカネ」問題、地方創生、農業政策が主な争点で、初日から舌戦を繰り広げた。
鳥取・島根合区選挙区は届け出順に、国民民主党の中山集氏(31)、自民党の出川桃子氏(47)=公明党推薦、共産党の亀谷優子氏(39)、参政党の倉井克幸氏(42)
NHK党の谷口直矢氏(47)が立候補した。
自民が固い組織と連立政権を組む公明党との協力で議席を守るのか、昨年の衆院島根1区の補選と解散総選挙に続いて野党が保守の牙城を崩すことができるかが焦点になる。
中山候補は鳥取市東品治町のJR鳥取駅前ロータリーで、連合や県連レベルで支援する立憲民主党の地元幹部ら約50人を前に第一声。党のキャッチフレーズ「手取りを増やす」や結婚・子育て支援などを挙げて「日本中の需要を喚起する。国の懐を豊かにするのではなく、国民の懐を豊かにする」と強調した。

出川候補は松江市殿町の県庁前で地元選出国会議員や地方議員ら約700人を前に第一声を上げた。石破茂首相が掲げる地方創生の推進に向け、東京一極集中の是正を国の責任で取り組むと強調し、「地方の暮らし、中山間地域の営みを守ることが国の将来も守る。地方分散型の国づくりへとかじを切る」と訴えた。

亀谷候補は松江市袖師町の共産党島根県委員会事務所前で第一声のマイクを握った。約90人を前に中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の停止などを主張。大企業や富裕層への課税で財源を捻出して消費税を減税すると説明し、「自公を過半数割れに追い込む。1番の物価高騰対策は消費税の減税だ」と力を込めた。

倉井候補は松江市朝日町の松江テルサ前で第一声に臨んだ。6人を前に行き過ぎた外国人の優遇は見直すべきだとして「日本人ファースト」の政策を主張。消費減税か段階的な廃止が必要だと力説し、「生活が苦しく、賃金は上がらない。その元凶が消費税だ。国民の豊かな暮らしを取り戻す」と声を張り上げた。

谷口候補は鳥取県庁で立候補を届け出た後、報道陣の取材に応じ、「NHKのスクランブル化を第一目標にする」と話した。

2日現在、鳥取・島根合区選挙区の選挙人名簿登録者数は99万1730人(男47万2660人、女51万9070人)。県別では、島根が54万846人(男25万8452人、女28万2394人)、鳥取が45万884人(男21万4208人、女23万6676人)。
(曽田元気)