小泉八雲の怪談を題材に松江市内の5人のアーティストが手掛けた作品を展示するイベントが19日、和多見町の善導寺で始まった。それぞれの感性で怪談を捉えた10作品と寺の雰囲気が相まって来場者を異世界に誘う。22日まで。
本堂の2部屋を使用。最初の部屋に足を踏み入れると、ふすまの大きさに描かれた色鮮やかな5作品が目の前に広がる。Pori(ポリ)さんの「雪女」は、家を出ていった後に子どもとの別れを悲しむ母親目線のお雪をイメージした。
奥に進むと、暗闇の空間で障子に描かれた5作品が並ぶ。表とは違い、生首や血などが描かれ、恐ろしさを感じさせる内容。路上詩人こーたさんは「小豆とぎ橋」を赤い墨による漢字1字「非」で表現した。「橋を渡るとよくないことが起こる」と言われても渡ってしまう主人公を通して、やってはいけないことをやってしまう人間の心理を描いたという。
出品者の1人、安達怜美さんは「物語の中で自分が主人公だったらどんな感情になるのか、五感を働かせ想像しながら見てほしい」と話した。
このほか高橋稚加江さん、やましたまほさんが出品。来場者は新しいアートの形を楽しんだ。
入場無料で午前10時~午後5時。5人の個人作品22点も展示する。
(坂上晴香)