日本でも児童生徒の新型コロナウイルス感染が増えていることから、文部科学省は、緊急事態宣言対象地域の学校で感染者が出た場合、学校が保健所と協議しなくても休校を判断可能とするための指針をつくる。宣言が出ている地域では、事実上の一斉休校に当たる夏休みの延長を既に決めた自治体もあり、対応が分かれ始めている。
文科省によると、現在は学校と保健所が協議した上で休校や学級閉鎖を決めているが、宣言地域の保健所は多忙を極めているため、指針を策定することにした。学校側が児童生徒らに聞き取りして濃厚接触者に該当するかどうかを見極め、判断できるようにする。高校に配っている抗原検査の簡易キットを小中学校にも配布する。
感染力が強いデルタ株にも従来の対策は有効として、教室の常時換気や座席間隔を1メートル程度確保することなどをチェックリストにまとめ、全国の教育委員会に通知した。
萩生田光一文科相は20日の閣議後記者会見で、夏休み明けの全国一斉の休校要請は否定、宣言地域の一斉休校にも慎重な考えを示している。
一方、川崎市と相模原市は市立小中学校の夏休みを8月末まで延長することを決定。愛知県の大村秀章知事は宣言が発令された場合、学校に夏休み延長を弾力的に判断してもらう考えを示した。
大阪府と兵庫県は一斉休校は当面実施しない方針だが、京都府の西脇隆俊知事は、府立高校に対し、夏休み明けの始業日を原則8月30日に遅らせるよう指示している。
パラ観戦 対象17万人超
東京パラリンピックの観戦機会を児童生徒らに提供する「学校連携観戦プログラム」は、競技会場のある埼玉、千葉、東京の3都県が計約17万2千人を対象に実施する予定であることが21日、各自治体への取材で分かった。ただ、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令された地域での開催となって参加を望まない家庭もあり、実際の参加者数は減る可能性がある。
大会組織委員会によると、昨年1月時点で、五輪とパラを合わせて各地でチケット計約128万枚分の申し込みがあった。感染拡大の影響で多数が中止したが、「共生社会実現に向けた教育効果が高い」と考える学校などがパラでは予定通り参加する。
20日までの各自治体の集計によると、大半の競技が実施される東京都にある幼稚園や小中高校などの対象者は、公立が約13万2千人で、私立が約6千人。ゴールボールなどが行われる千葉県は、引率の教職員を含めて計216校、約3万4千人を見込む。射撃会場のある埼玉県は1校の約300人。自転車が行われる静岡県は、実施予定の学校がないとした。