島根県の2021年度の最低賃金を巡り、地方審議会が全国最大の改定額を島根労働局に答申したことに対し、県内の3商工団体が23日、同局に決定差し戻しを求めて異議を申し立てた。現行より32円高い時給824円とする内容について、新型コロナ禍で企業の負担増になると反発し、再審議すべきと訴えた。 (部田寛孝)

 3団体は県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会。島根労働局によると、労働者団体以外からの異議申し出は近年例がないという。島根地方最低賃金審議会は24日に申し出に対する調査審議をし、再審議か却下するかどうかを判断する。

 申し出書では、企業の経営環境は新型コロナで厳しく、今後賃金の支払い能力の低下が見込まれるなどと指摘。審議会で地域の経済情勢に配慮した議論をあらためてするよう求めた。

 県商工会連合会の高橋日出男会長は「コロナの感染拡大が続き、事業者が雇用維持に腐心している時期に、なぜ大幅引き上げなのか。明確な引き上げ理由も示されず、受け入れられない」と話した。

 審議会の答申決定を巡っては、専門部会の議論で労使の溝が埋まらず、全会一致の決着を断念。6日の審議会で32円の案が賛成多数で可決されたものの、経営者側の一部委員は反対した。

 異議申し出は23日で締め切り、3団体以外に4件の申請があり、24日に合わせて調査審議する。