前線の停滞で大気の状態が不安定となった山陰両県は9日以降、各地で大雨となった。地点によっては、3日間あまりで平年の8月1カ月分を上回る降水量があった。土砂崩れや倒木で県道の通行止めが発生したほか、交通ダイヤが乱れた。松江、鳥取両地方気象台によると13日以降、両県は太平洋高気圧の勢力が強まって前線が北上するとしている。
両地方気象台によると、9日午後の降り始めから12日午後(鳥取午後3時、島根午後4時)までの降水量は、大田270・0ミリ▽七日市(島根県吉賀町)260・0ミリ▽鹿島(松江市)234・0ミリ▽佐田(出雲市)233・0ミリ▽西津田(松江市)224・5ミリ▽大山208・5ミリ-となった。
このうち、大田は平年の8月1カ月分の186%、西津田は同173%で、約3日間で2カ月分に迫る雨が降った。
雲南市・島根県奥出雲町の尾原ダムなど、主要ダムの貯水率は回復した。
9日以降、島根県内では松江、出雲、大田の3市の一部で避難指示が出た。道路は、11日に同県吉賀町椛谷で県道脇の斜面が崩れたほか、大田市大田町の県道で倒木が発見された。12日には同県隠岐の島町西田の県道が地滑りした。いずれも全面通行止めで、復旧の見通しは立っていない。人的被害はなかった。
JR西日本は12日、山陰線や木次線、山口線の一部区間で終日運転を取りやめた。
松江地方気象台は13日にかけて太平洋高気圧の勢力が強まり、雨をもたらした前線が北上。14日以降は晴れ間が広がると予報する。環境省などは、松江、浜田の13日の最高気温が33度と予想するなど、島根県に熱中症警戒アラートを5日ぶりに発表した。
(新藤正春、鎌田剛)