ビジネスマンを中心に売れ行きが好調な男性向け晴雨兼用の傘。追加注文ができず品薄の状況が続いているという=米子市角盤町1丁目、JU米子高島屋
ビジネスマンを中心に売れ行きが好調な男性向け晴雨兼用の傘。追加注文ができず品薄の状況が続いているという=米子市角盤町1丁目、JU米子高島屋

 猛暑で日傘の需要が拡大し、小売店の売り上げが急伸している。厳しい日差しを手軽に遮ることができるため、男性の購入者も増えているのが特徴で、誰もが持ち歩く夏場の必携品となりつつある。男女問わずに需要が広がり、地元製造会社の受注量も伸びている。

 「男性用の傘は、品薄の状況が続いている」。JU米子高島屋(米子市角盤町1丁目)の川上幸美販売促進・宣伝担当課長が話した。

 男性用の日傘は5~7月の売上高が前年同期比50%増えた。1万~1万3千円台の価格で、紫外線(UV)カットや遮光、遮熱機能がある商品が人気。出張を控えるビジネスマンや若者の購入が多いという。全国的に日傘の需要は増加し、メーカーに追加注文をかけても入荷しにくい状態という。

 マーケティング調査会社のクロス・マーケティング(東京都)が5月、全国の20~69歳の男女約1100人を対象に実施した調査によると、男性は4人に1人が日傘を利用。若年層ほど使用率が高く、20代は6割近くに達した。利用目的は、男性は「暑さ対策」が60・1%、女性は「紫外線対策」が73・6%でそれぞれ最多だった。

 雑貨販売の「grappino(グラッピーノ)出雲店」(出雲市渡橋町)では日傘人気を受け、売り場を拡大した。物価高で仕入れ値が上昇し、販売価格は前年より約2割上がったものの、男女ともに熱中症などの健康面を配慮して使い始める人が多いという。

 気象庁によると、7月の島根県内の平均気温は全19観測地点のうち、出雲や斐川、浜田など17地点で過去最高を記録するなど酷暑が続く。同店では今季、初めて男性用の日傘も仕入れた。熱田晴香店長は「短い距離でも傘を差して歩く人は多い。島根県は車社会のため、売れ行きは不安だったが、コンスタントに売れている」と説明した。

 日傘の製造会社の受注も伸びている。生活関連用品の受託製造を手がけるビドルインターナショナル(松江市末次本町)は、国内メーカーから受注した傘を中国の工場で製造し、年間約1千万円超を売り上げる。UVカットや遮熱などの機能を備える傘の比率が年々高まり、今期の製造品目は全て晴雨兼用の傘になった。

 姚遠(やおえん)代表取締役は「日傘は性差を超えて誰もが当たり前のように使う商品になった。さらに受注を拡大したい」とし、関連売り上げを2千万円に倍増させたい考えだ。(佐野翔一)