24日に開かれたパラリンピック東京大会の開会式で、松江市出身の小林広記さん(57)=千葉県在住=が選手誘導のボランティアとして活動した。新型コロナウイルスの感染拡大で、当初予定した五輪での活動はかなわなかったものの「別のかたちで選手と触れあう貴重な体験ができた」と喜んだ。
午後8時に始まった開会式は、ダンスなどに続き各選手が国旗を手に入場。競技場内でイタリアやスイスの選手を、身ぶり手ぶりを交えて誘導した小林さんは「手を振ったり笑顔で応えたりしてくれた」と声を弾ませた。
3年前に五輪のボランティアに応募し活動を心待ちにしていたが、コロナで無観客開催が決まり、いったん白紙に。期間中に大会組織委から連絡はなかったが、その後パラリンピック開会式での活動の打診が舞い込んだ。
開会式では競技場だけでなくバックヤードでも、さまざまな交流があった。入場前の選手がスマートフォンでボランティアと一緒に「自撮り」。出番を終えて引き上げてきたパフォーマーをボランティアや選手が大きな拍手で迎え、ねぎらった。
「緊張感や達成感、息づかいの一つ一つまで伝わってきた」と、前夜の感動を思い起こした小林さんは「選手、出演者、ボランティアが全員で開会式を作り上げた。大会が盛り上がり、五輪に続き多くの人に注目してもらえればうれしい」と、成功への願いを込めた。
(白築昂)