低い位置にベースを構え、攻撃的かつダイナミックな低音で楽曲をグイグイとけん引する―。「LUNA SEA」のJが日本を代表するロックベーシストであることに疑問の余地はないだろう。1990年代の彼は、地味な地位に甘んじていたベーシストの在り方を一変させた。

 屈指のメロディーメーカーでもある。「ROSIER(ロージア)」は、Jが原曲を作ったバンドの代表曲。居ても立ってもいられないような衝動をかき立てるイントロの核にあるのがJのベースだ。

 だが、刊行されたばかりの『MY WAY J自伝』(リットーミュージック)で語られるのは、この曲を作るまでの苦悶の日々だ。疑心暗鬼、不眠、自暴自棄…。この本で「生き地獄」と表現した苦しみの中、Jはどのようにして奇跡の曲をつかみ取ったのか。(取材・文 共同通信=森原龍介)

 J 1970年生まれ、神奈川県秦野市出身。1992年「LUNA SEA」のベーシストとしてメジャーデビュー。ソロアーティストとしても活動し、最新のアルバムは「BLAZING NOTES」。雑誌「ベース・マガジン」2025年2月号で、一般投票による「最も偉大なベーシスト」で1位を獲得した。...