俳優の堺雅人が主演する映画『平場の月』(11月14日公開)の主題歌が、音楽家・星野源の新曲「いきどまり」に決定した。
【動画】映画『平場の月』主題歌入り最新予告映像
2010年にアルバム『ばかのうた』でソロデビューして以降、「SUN」や社会現象を巻き起こした「恋」、「不思議」「創造」「喜劇」など、数々のヒット曲を世に送り出してきた星野。今回書き下ろした「いきどまり」は、降りそそぐ月光のようなピアノの旋律と儚げな歌声が印象的で、聴く人の心に静かに寄り添い、淡い希望を残す楽曲となっている。
映画は、朝倉かすみによる同名小説(光文社文庫)が原作。主人公・青砥健将(堺)が、中学時代に思いを寄せていた須藤葉子(井川遥)と35年ぶりに再会。それを機に心を通わせていく姿を描く、切なくもリアルなラブストーリー。
星野は主題歌制作にあたり、「いただいた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です」とコメントしている。
主演の堺は「曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします」と語った。
かねてより星野のファンだったという土井裕泰監督は「(主題歌となる楽曲は)愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。この曲をもって完結することができる『平場の月』はなんと幸福な映画だろう」とコメントを寄せた。
あわせて、主題歌「いきどまり」を使用した最新予告映像も公開。青砥と須藤が再会し、再び距離を縮めていく日常のひとときが描かれるなかで、星野の歌声が二人の想いを鮮やかに浮かび上がらせる。ナレーションは、中学時代の須藤を演じる一色香澄が担当。初挑戦ながらも可憐で繊細な表現で作品の温もりを彩っている。
■星野源のコメント(全文)
ある日、土井監督と那須田プロデューサーが「直に話したい」と僕の作業場まで来てくれました。映画『平場の月』の主題歌を制作して欲しいというオファーでした。今まで何度もお仕事ご一緒しているけど、こんな風に自分の居場所まで来てくれて3人だけで話すなんて滅多にないなあ、と嬉しかったのを覚えています。いただいた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です。劇場の中で、そして貴方の中で、ぜひこの楽曲を聴いてください。
■堺雅人のコメント(全文)
曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。また、「間違いだらけの優しさ」「忘れられぬ呪い」「行き止まりの二人」といった、星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。出演者として本当にうれしく思います。星野さん、ありがとうございました。
■土井裕泰監督のコメント(全文)
俳優・星野源とはこれまで何度か仕事をしてきたけれど、勿論そのずっと前から、彼の音楽や文章のファンだった。紛れもない現代のPOPSTARでありながら、その表現のベースには常に市井の人の視線や実感があって、だからこそ彼の眼を通して見た世界はとても信用できる。
この平場の男女の物語は彼の眼にはどんな風に映るのだろうか?ある時、そんな興味に急にとらわれて、多忙な彼に台本を届けに行ってしまった。
数ヶ月経って、ツアーが一段落した彼から返ってきたのは、彼の声とピアノだけのシンプルで美しい曲だった。
「切ない、大人の、恋物語」などという惹句ではとても掬いきれない、愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。
この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。星野源の歌う言葉を、どうか劇場で、最後の一音までもらさずに聴いてほしい。
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