歌舞伎を題材にした映画『国宝』の快進撃が止まらない。興行収入は9月7日までに130億円を超え、邦画の実写作品で歴代2位を記録する。ヤクザの家に生まれた喜久雄(吉沢亮)が、歌舞伎役者の家に生まれた御曹司の俊介(横浜流星)と切磋琢磨し、浮き沈みを経験しながら歌舞伎女形の人間国宝に上り詰める。ライバルストーリーの面白さもさることながら、劇中で披露される「京鹿子娘道成寺」「鷺娘」などの演目をきっかけに歌舞伎そのものにも注目が集まる。

 喜久雄のように歌舞伎に関係のない家に生まれた俳優は、この映画をどう見たのか。大学卒業後に入門して7年目の若手女形、片岡市也は喜久雄のことが「うらやましい」と語る。映画が描く女形の魅力とはどこにあるのか。喜久雄がなぜうらやましいのか。虚実を超えた『国宝』の魅力を聞...