ホルン
ホルン

 今年の吹奏楽コンクールが終わった。長期間、練習に明け暮れて頑張った。大人数での集団活動を続ける中で、個性豊かなメンバーが力を合わせ、最高の音楽を目指す世界だ。

 部員個々には並々ならぬ葛藤や苦しみがあったはずだ。練習しても練習しても、どうしてもうまくいかない時もある。「先生はどうして分かってくれないのだろう」。そんな日々が、やがて良き思い出になるはずだ。打ち込んだからこそ見える世界。何よりそのことに感動してほしい。

 吹奏楽は指導者の力量がものをいう活動だ。経験も大事だが部員を信頼し、心が合わなければ練習も本番もうまくいくわけがない。指導者とて人間だ。必死になればなるほど空回りし、時にはピエロのようにむなしく、はかない気持ちにもなるのだ。

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 吹奏楽は日本では「ブラバン」で名が通っている。ブラスバンドの略称だが、ブラスは欧州では金管バンドの意味だ。もともと真ちゅう製の楽器を指し、木管楽器を含まない。日本の吹奏楽はウインドオーケストラと呼ぶべきだろう。ウインドは管楽器を意味する。

 だから好きではない呼び名であるが、ブラバンは最近、メディアで取り上げられる機会も増え人気である。国内で1万5千団体あるとされ1団体は標準で、ざっと50人。現役や経験者を含めると男女、年齢を問わず大変な人数になる。

 青春の1ページとして特に熱心に練習に打ち込み、コンクールの注目度も高いのが学校吹奏楽部。いわゆるスクールバンドであろう。コンクールや演奏会のほかにも、野球の応援や学校行事にと忙しく出番が多い。

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 名曲の数々を美しい音色とハーモニーで奏でるので上品、高尚な印象を持たれるが、体質的には運動部のようなところがある。スポーツの団体競技が連携やチームワークで戦うのと同じように、ブラバンは統一美を披露する。集団での活動に違いはなく、マナーやルールがしっかりしていなければ活動が難しいのだ。

 バンドにもよるが、昔はかなりスパルタ的なところもあった。現在は雰囲気も練習内容もかなり向上。体育会系のあしき風習が嫌われ、改善に努める運動部の動向ともよく似ている。

 良い面は生徒が自分の居場所を見つけ、友情が育つことだ。まさに青春といった感じで、映画やテレビドラマのような泣き笑いの場面がある。だから、指導者も部員もブラバンに熱中する。最終的には演奏を通じ聴衆と感動を分かち合う瞬間。これが最大の魅力だ。

 (石見音楽文化振興会音楽研究室長、島根県立大客員教授) =隔週土曜掲載=

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 藤重佳久さんが今春から指揮(指導)する浜田高校吹奏楽部は20日、松江市殿町の島根県民会館であった全日本吹奏楽コンクール中国大会で、銀賞を受賞した。浜田高校の中国大会出場は18年ぶりだった。