最終18番。優勝が懸かったパーパットがカップに吸い込まれると、右拳を突き上げ、喜びを表現した。ステップアップツアー2勝目をデビュー戦と同じ大山平原ゴルフクラブで挙げた鈴木麻綾は「すごいご縁を感じる。最高の年になりそうだ」と笑顔で話した。
トップと1打差でスタートした最終日。前半の9ホールを終え、後半に入るまでの休憩中にトイレのドアに触れる手が震えた。「緊張しているんだ」。前半を2アンダーで回ったこともあり、優勝を意識している自分に気づいた。
ここで心を落ち着かせようと、意識的に笑顔をつくったことがプラスに働き、後半の10番(パー5)、11番(パー4)で連続バーディーを奪った。
「一番怖かった」という15番(パー4)では、パーオンしたものの「打ってはいけない」と警戒していたグリーンの左奥でボールが止まった。「(最終日に)打ったパットの中で一番距離が短かったけど、一番難しかった」というが、ここでも平常心を忘れることなく1・5メートルのパットをねじ込み、「優勝」の2文字を大きく引き寄せた。
2015年にプロテストに合格し、その年の前身大会でプロデビュー。17年以来優勝からは遠ざかっていたが、今年5月には結婚し「心に余裕ができた」ことも優勝の要因となった。
さまざまな縁を感じながら、優勝者に贈られるガラス製のプレートを手にした鈴木の表情には、誇らしさと喜びがあふれていた。 (藤原康平)