社会現象を巻き起こしている大ヒット映画『国宝』。原作となった吉田修一さんの同名小説の漫画版が、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載されているのをご存じだろうか。ちょっぴりネガティブ思考な作画担当の三国史明さんと担当編集者に、華やかな歌舞伎界に渦巻く愛憎劇を漫画にする苦労話を尋ねると、映画版とはひと味違う喜久雄と俊介の複雑な関係性を描く喜びと、苦しさが同時に浮かび上がった。(取材・文=共同通信 川村敦)
『国宝』 歌舞伎界の愛憎を描く群像劇。圧倒的な才能を見いだされ、名門「丹波屋」に引き取られた主人公の喜久雄と、その家の嫡男の俊介が、意識し合いながら成長していく姿を描く。李相日監督が映画化し、喜久雄を吉沢亮さんが、俊介を横浜流星さんが好演。興行収入は130億円を超え、邦画の実写映画で歴代2位となった。
(1)悔しくて、仕方がなかった
▼記者 映画の『国宝』はご覧になりましたか?
◆三国 見ました。本当に素晴らしいと思いました。
●担当編集 試写会にご招待いただいて、一緒に見に行きましたよね。スタンディングオベーションの中、三国さんだけが立ち上がれないほど衝撃を...