「第30回釜山国際映画祭」オープントークに登場した『国宝』黒川想矢、吉沢亮、李相日監督
「第30回釜山国際映画祭」オープントークに登場した『国宝』黒川想矢、吉沢亮、李相日監督

 韓国・釜山で開催中の「第30回釜山国際映画祭」〈ガラプレゼンテーション部門〉に出品された映画『国宝』が21日に公式上映された。主演の吉沢亮、吉沢演じる喜久雄の少年時代を演じた黒川想矢、李相日監督が渡韓。午後3時から野外メインシアターで開催された「オープントーク」に集まった約2000人の観客の前に姿を見せた。

【画像】オープントーク&記者会見の写真

 冒頭、李監督が韓国語で自己紹介。『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)以来、実写映画の歴代興行収入ランキング2位となる快挙について問われると、「この映画はテレビドラマや漫画の原作ではなく、伝統文化を題材にした作品です。現代の日本の観客に多く観ていただけたことに驚いています」と率直な思いを語った。さらに「歌舞伎はどの国の人でも、その美しさや伝統、歴史を感じられる芸術。国や人種を問わず感動していただける映画だと思います」と作品への思いを述べた。

 続いて吉沢と黒川がサプライズで登場。ともに韓国語で自己紹介をすると、満席の会場から大きな拍手が湧き起こった。

 吉沢は「1年半という長い期間、一つの役に向き合えたのは貴重な経験でした。実際の歌舞伎役者の方々の足元にも及びませんが、稽古を重ねるほど、その素晴らしさを実感しました。あの時は『やるしかない』という意地で挑みました。これまでの作品とは比べものにならないほど、覚悟が必要でした」と振り返った。

 さらに、李監督の厳しい要求について「難しく不可能に思える注文ばかりでしたが、それは『役者なら乗り越えられる』という絶対的な信頼だと思いました。監督の言葉の中にある愛を強く感じました」と明かした。

 一方、黒川は「演技が本当に面白くて仕方ありません。本作の中で『寝る時間が無駄だ』というせりふがありますが、その気持ちは分かります」と語りつつ、「演技を楽しむために、よく眠るよう努力しています」とユーモアを交えて会場を和ませた。

 この日は午前10時から韓国メディア向けの記者会見も開かれ、李監督と吉沢が出席。午後6時55分からの公式上映には約300人の観客が詰めかけ、Q&Aでは次々と質問が寄せられた。11月に公開を控える韓国での関心の高さを裏付ける一日となった。