糖尿病によりリスクが高まる肝疾患について解説する金﨑啓造診療科長=出雲市塩冶町、島根大医学部付属病院
糖尿病によりリスクが高まる肝疾患について解説する金﨑啓造診療科長=出雲市塩冶町、島根大医学部付属病院
肝臓の検査の重要性を説く飛田博史診療科長=出雲市塩冶町、島根大医学部付属病院
肝臓の検査の重要性を説く飛田博史診療科長=出雲市塩冶町、島根大医学部付属病院

          
糖尿病によりリスクが高まる肝疾患について解説する金﨑啓造診療科長=出雲市塩冶町、島根大医学部付属病院
肝臓の検査の重要性を説く飛田博史診療科長=出雲市塩冶町、島根大医学部付属病院

 肝がんの予防を呼びかける市民公開講座がこのほど、島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)であり、医師が糖尿病と肝疾患の結びつきを解説した。

 内分泌代謝内科の金﨑啓造診療科長(53)が講演し、糖尿病患者は世界に5億人以上いるといわれ、2045年には46%増の7億8千万人になると予測されているとした。肝臓には糖を取り込み、インスリンによって糖を貯蔵して血糖の量を調整する機能があり、糖尿病の場合、糖の貯蔵ができずに血糖値が上がるほか、糖が蓄積されて脂肪肝となり、肝硬変や肝がんにつながると指摘した。

 近年は糖尿病性腎症に対し治療薬のSGLT2阻害薬が効き、腎不全や透析導入の抑制や脂肪肝にも効果もあると紹介した。

 肝臓内科の飛田博史診療科長(50)は、アルコールや糖尿病などによる非ウイルス性の肝がんが、1990年代は肝がん全体の約1割だったのが、2010年代後半には約5割になっていると解説。糖尿病患者に対し県内130カ所で検査可能な腹部超音波検査の受診を呼びかけ、「肝がんの早期発見や治療につなげてほしい」と語った。

 日本肝臓学会が主催する「2025年肝がん撲滅運動」の一環で講座を開き、125人が聞いた。(黒沢悠太)