防災関連グッズの在庫を確認するスタッフ=松江市乃白町、100満ボルト松江本店
防災関連グッズの在庫を確認するスタッフ=松江市乃白町、100満ボルト松江本店

 新型コロナウイルス感染拡大や大雨は消費にマイナスばかりでなく、売れた商品もある。

 JU米子高島屋(米子市角盤町1丁目)は催事効果で7月の美術品販売が前年同月比3・3倍、宝飾品は2・2倍となった。

 来店客の落ち込みなど不振が続く百貨店だが、高額品は堅調だ。コロナで旅行を取りやめるなど「我慢の夏」を強いられた富裕層らの消費の受け皿となっている状況がうかがえる。

 この夏は大雨による河川氾濫や土砂災害の危険を知らせる緊急速報メールのアラームが何度も鳴り響いた。災害に備える意識の高まりから、家電の100満ボルト松江本店(松江市乃白町)では、歯ブラシや携帯トイレなど防災用品30点をセットにした「防災バッグ」が7~8月で前年同期比約1・5倍に。ポータブル電源やモバイルバッテリーの販売数も増えた。

 ミネラルウオーター製造販売のケー・エフ・ジー(浜田市金城町下来原)は備蓄用保存水こそ横ばいだったものの、スーパーやディスカウントストアに並ぶ通常品は売れた。コロナの巣ごもり生活による需要の高まりで、ウオーターサーバーは7、8月とも前年比3割増だった。

 7月中旬の梅雨明け後、大田、鳥取両市で最高気温が観測史上最も高い39・2度を記録するなど暑い日が続いた。巣ごもり需要、さらには東京五輪の「家飲み観戦」という幾重もの追い風を受け、勢いよく売れたのがビールだ。

 イオン松江ショッピングセンター(松江市東朝日町)は7、8月のビール売り上げが2割増。特に五輪期間中は大きく伸び、連動する形で焼き鳥や唐揚げ、枝豆などが売れた。冷凍食品も3割増と好調で、小倉通彰店長(58)は「数日間に分けて少しずつ食べることができる点が、長期開催の五輪と相性が良かった」と話す。

 五輪の熱狂が消費を後押しし、日本のメダルラッシュ効果も現れた。新競技で金三つを獲得し、注目を集めたスケートボードの専門店「EVOL」(出雲市渡橋町)には、新たに競技を始めたいとボードを買い求める客が多数訪れた。例年であれば、気温の高い夏場は客足が鈍るが、今年は8月の売り上げが前年比約1・5倍に伸びた。

 北村友和店主(45)は「20歳前後の女性客の割合が増えた。特にメダリストが使用するボードのパーツは全国的に品薄となっており、仕入れを増やして対応している」とし、秋以降のブーム持続に期待した。

       (取材班)