鳥取県の平井伸治知事が30日の全国知事会会議で、山陰両県の知事で初となる会長に選出される。流行第5波の出口が見えない新型コロナウイルス対策、参院選の合区解消などが課題となる中、かじ取りを聞いた。
(聞き手は鳥取総局報道部・藤井俊行)
ー全国的に新型コロナの感染の勢いが収まらない。
「緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が適用された都道府県数が全国の7割に広がり、国難と言える状況だ。重症者数が増え、医療体制が逼迫(ひっぱく)する一方なので、政府は全国一斉に緊急事態宣言を発令するなど、国民に分かりやすいメッセージを発信すべきだ」
ー知事会が提言したロックダウン(都市封鎖)のような徹底した人流抑制案に対し、政府側が慎重姿勢を示す中、求めることは。
「都市部はある程度強い措置で人の接触を減らす以外、感染防止の手だてがなくなっている。地方部は積極的疫学調査で抑え込むことが有効だ。全国一律の対策が困難ということであれば、地域の実情に沿った前例にとらわれない対策が必要となる。取るべき手段は現場に任せてもらうといった考えを含め、政府に要求していく」
ー会長として、一部の府県が決議で反対した合区の解消など、都市部と地方部で温度差があったり、利害が対立したりする問題の調整能力が問われる。
「合区については都道府県による行政の枠組みが明治時代から続いており、都道府県ごとに意思決定することが重要だと誰もが理解できるはずだ。確かに合区の問題などで考え方が違うことはあるが、意見表明して理解を深め、合意形成する努力をしていく」
ー人口100万人未満の県の知事が会長に就くのは2人目となる。
「大都市部を抱える都道府県知事が会長を務めることが多かったが、コロナと向き合わないといけない時代の中で、大きさよりも心一つにやっていくという思いで40道府県の知事から推薦をいただいた。政府に対し、コロナ対策だけでなく、普段見過ごされがちな地方自治の視点を注入したい」
ー知事会長の任期は2023年9月までの2年間。同年春に予定される知事選で5選を目指す考えは。
「全くの白紙だ。過去に知事会長が2年の任期を終えず、途中に退任した例もある。いずれにせよ、知事の任期は大切に務める」