第103回全国高校野球選手権大会最終日は29日、甲子園球場で決勝が行われ、智弁和歌山が智弁学園(奈良)を9―2で下して、21年ぶり3度目の優勝を果たした。和歌山県勢の優勝は2000年の智弁和歌山以来、8度目。
智弁和歌山は16安打を放った。一回に高嶋の2点適時打など5長短打で4点を奪い、中盤以降も小刻みに加点した。
初めて決勝に進んだ智弁学園は頂点に届かなかった。
昨年は新型コロナウイルス禍で中止となり、2年ぶりの開催だった。期間中に選手のコロナ陽性判明により、宮崎商と東北学院(宮城)が試合出場を辞退した。相次ぐ天候不良で史上最多7度の順延となった。
(智弁和歌 山 9-2 智 弁学 園)
▽決勝
智弁和歌山(和歌山)
400 001 121─9
020 000 000─2
智弁学園(奈良)▽本塁打 渡部1号(1)(小畠)
▽三塁打 谷口▽二塁打 宮坂、渡部、高嶋、前川、徳丸▽犠打 宮坂、徳丸、大西、垪和2▽盗塁 大西(1)▽失策 山下、垪和
▽試合時間 2時間27分
【評】智弁和歌山が16安打9得点の猛攻で、快勝した。
一回に徳丸の犠飛で先制。さらに渡部の適時二塁打と高嶋の2点適時打で、この回に4点を挙げて、試合の主導権を握った。六回以降も小刻みに加点した。八回には徳丸の2点二塁打、九回には渡部のソロ本塁打で突き放した。
先発の伊藤は四回途中2失点。2番手で登板した中西が好救援した。伸びのある直球と鋭い変化球で8奪三振。5安打に抑えて、得点を許さなかった。バックも堅い守備でもり立てた。
智弁学園は先発の西村が立ち上がりに制球の甘いところを突かれて、5回4失点。2番手の小畠も勢いを止めることができなかった。打線は二回に谷口の三塁打などで2点を返したが、要所を締められた。
智弁和 打安点振球
(中) 宮 坂52100
(二) 大 仲44001
(左) 角 井40030
左 須 川10010
(右) 徳 丸42310
(一) 岡 西51000
(捕) 渡 部43201
(三) 高 嶋52310
(投) 伊 藤20000
投 中 西30010
(遊) 大 西42010
犠盗失併残
3101104116982
智弁 打安点振球
(左) 前 川43000
(中) 森 田40010
(遊) 岡 島42000
(三) 山 下21002
(一) 垪 和10011
(捕) 植 垣41120
(二) 中 陳41020
(右) 谷 口41100
(投) 西 村10000
打 三 垣10010
投 小 畠10000
打 足 立10010
犠盗失併残
20207319283
投 手回 打安振球責
伊 藤30/3134022
中 西6 235810
西 村5 248514
小 畠4 228314
伝統の強力打線が大一番でも本領を発揮した。智弁和歌山は16安打9得点で快勝。21年ぶりに凱歌(がいか)を奏した。1番打者として、けん引した主将の宮坂は「日本一だけを目指して、チームで一つになってやってきた。素直にうれしい」と感慨に浸った。
一回。プレーボールのサイレンが鳴り終わらないうちに鋭い金属音が響き渡った。宮坂が初球を捉え、中堅手の頭上を越える二塁打。大仲も右前打で続き、1死一、三塁から徳丸の犠飛であっさりと先制した。宮坂は「チームに貢献するために必ず出塁しようと思っていた。いい結果になって良かった」と笑みがはじけた。
強打が強みのチーム同士の対戦。中谷監督は「とにかく打ち勝たないと優勝はない」。リードオフマンの一打で勢いづいた打線は、この回にさらに3本の長短打で3点を加えた。宮坂は4―2の六回には、試合の流れを引き戻す貴重な適時打を放つ活躍だった。
初戦が不戦勝になるなど調整が難しい中で、4試合連続となる2桁安打をマークし、〝智弁対決〟を制した。過去2度の優勝は、甲子園大会で歴代最多監督勝利数の68勝を挙げている高嶋仁氏が率いた。智弁和歌山が新しい一ページを刻んだ。名将の後を受け継いだ中谷監督は「夢のような幸せな時間だった。子どもたちがやってくれた」と満面の笑みを浮かべた。