テレビ・ラジオ局が問題を起こしたとき、しばしば登場するのが放送倫理・番組向上機構(BPO)だ。放送を取り締まる「お目付役」といったイメージを抱く人も、多いかもしれない。しかし、BPO放送倫理検証委員会の委員長を長年務めた弁護士の川端和治(かわばた・よしはる)さん(79)は「放送の自由を守るためにある」と言い切る。どういうことか―。(共同通信編集委員・原真)

 ▽キーワードは「自律」

 川端さんによれば、放送のキーワードは「自律」だ。川端さんは語る。

 「放送の内容については、各局が自ら決めた番組基準に従い、自主的に規律する制度になっています。国が規制に乗り出せば、表現の自由が損なわれるからです。でも、問題も起こり得る。そこで、民放とNHKが一緒に、放送の在り方を考える有識者の第三者機関を設立しました」。BPOは、放送界の自律を強化することで、政府による介入を防ぐ役割を担っているのだ。

 そのBPOには、三つの委員会...