国の重要情報を守るために必要だ―。自民党の高市早苗首相の誕生で、「スパイ防止法」への関心が高まっている。高市氏はこれまでの総裁選などで、この法律の制定を誓い、連立を組んだ日本維新の会も法整備に言及してきた。
しかし、為政者の恣意的運用で国民の権利が侵される恐れがあると警告する専門家もいる。
思い起こされるのは、今からちょうど100年前の1925年に制定された治安維持法だ。思想や信教の自由、社会運動などを制限し、戦争遂行にまい進していた当時の政府に盾突くものは根こそぎ取り締まられた。法解釈の拡張に次ぐ拡張で「希代の悪法」「悪法の権化」と呼ばれたという、あの法律だ。
スパイ防止法制定をめぐる議論は、治安維持法の再来を予見す...