第七章・家を継ぐ者(36)

 

 五月六日の夜、利常らは予定通り久(きゅう)宝(ほう)寺(じ)村(八尾(やお)市)に宿営した。

 周囲には昼間の激戦の跡が生々しく残っている。敗北した大坂方の将兵の遺体は放置されているし、追撃を避けるために放火...