どこまでも続く大草原に、真っ赤な太陽が沈む。見上げるほど高く跳ねるインパラ、森で静かにうごめくゾウの群れ―。モザンビーク南部イニャンバネ州のジナブ国立公園には、生命力あふれる自然が息づいている。

 この楽園はかつて、長く悲運に見舞われた。内戦と密猟で、動物は居場所を喪失。鳥のさえずりも聞こえない「静寂の公園」と呼ばれ、一時は人々の記憶から消えた。

 公園の管理主体は近年、政府や動物保護団体と連携し、近隣国から多様な種の動物を移送し続けている。自然繁...