注目度が高かったサスペンスがどどーん！と一挙に配信が始まった11月。これがどれも序盤から没入度高めで、止まらない面白さなんです。本記事では、愛憎渦巻くドロドロ劇にくぎづけ！ノンストップで観てしまう新作サスペンス『親愛なるX』『捏造された都市』『あなたが殺した』の3作をご紹介します。
【動画】キム・ユジョン×キム・ヨンデ、切なくも激しい愛の軌跡を描く…
■『親愛なるX』
いやぁ～今期、もしくは今年の下半期イチと言っても過言ではないかもしれません…『親愛なるX』が面白すぎて止まりません…。これは今年ラストにどえらいものが来てしまいましたよ…。まだ観てない人、絶対に止められないので時間がある時にイッキ見をおすすめしたいです。
演出を手がけるのが、『ミスター・サンシャイン』『トッケビ～君がくれた愛しい日々～』『太陽の末裔』など、韓国ドラマ史に残る数々の名作を世に送り出してきたレジェンド・ヒットメーカーのイ・ウンボク監督とあって、これは下半期最高の話題作になりそうな予感。
本作は、人生の最底辺から頂点まで登りつめた女優ペク・アジン（キム・ユジョン）の壮絶な破滅と、彼女を守るために地獄を選んだユン・ジュンソ（キム・ヨンデ）の切なくも激しい愛の軌跡を描くロマンス・スリラー。
不遇な幼少期に始まる地獄から抜け出して高みを目指すため、周囲の人間“X”たちを残酷に踏みにじる主人公アジンと、彼女に翻弄（ほんろう）される男性たちを描いていくのですが、周囲を操って自分のいらない奴を消していく彼女の手口がまぁ巧妙で…!今度は誰を、どうやって動かす…？と、予測不能な展開に、毎話ハラハラドキドキが止まらんのですよ…！
アジンは他人を、“自分の欲望を満たす道具”のようにしか見ていない一方で周辺の男性たちは“必要とされてる”という心理で、彼女の深みにハマっていってしまうという…。「アジンのためにどこまでできるか」を試される、なんでしょう、日本の作品『白夜行』的な要素もあって、これぞまさに愛憎ドラマ！という感じ。
そしてこの取り巻きとなる男性たちがまたHOTな俳優ばかり！『ペントハウス』シリーズや『損するのは嫌だから』などのキム・ヨンデをはじめ、『ムービング』や『YOUR HONOR～許されざる判事～』など話題作引っ張りだこのキム・ドフン、『悪の花』や『この恋、断固お断りします』などで色気ダダ漏れのキム・ジフン、『女神降臨』『組み立て式家族～僕らの恋の在処～』のファン・イニョプ（俳優役がかっこよすぎる）と、今の段階でこの豪華さ。
そしてなんと言ってもキム・ユジョンですよ…。韓国で、「キム・ユジョンのワンマンショー」と言われているのも納得の圧巻の演技力を披露していて、本当に彼女から1ミリも目が離せない。『雲が描いた月明り』や『マイ・デーモン』など、これまで明るく感情豊かなヒロインを演じてきた彼女。
今作では一転、天使の仮面の下に潜む悪魔を、微妙な視線と沈黙で表現。美しい容姿を武器に他人を操るシーンでは、言葉を発さずとも視線だけで「計算高さ」と「冷酷さ」が伝わる点が秀逸で、表現力のすごみに震えてしまいます。4話時点ですでに来年の百想芸術大賞はじめ、演技賞ノミネートは確実だろうなと確信してしまいました。彼女の代表作になることは間違いないでしょう！
今期観るもの迷子な方、『ペントハウス』などドロドロ愛憎劇大好きな人、これは見逃し厳禁です！
▼配信情報
『親愛なるX』ディズニープラスで独占配信中
■『捏造された都市』
『埋もれた心』しかり、『被告人』しかり、男の果てしない闘いが大好物な筆者が、めちゃくちゃ楽しみにしてたのが、チ・チャンウクとド・ギョンスの復讐劇『捏造された都市』。こちらも現在6話まで配信されているんですが、予想通り半端なく面白い！1話から引き込まれてしまい、瞬殺でイッキ見してしまいました。
チ・チャンウク主演の映画『操作された都市』のドラマリメイク作で、ドラマ版は『復讐代行人～模範タクシー～』シリーズと観客1000万人を動員した映画『犯罪都市 PUNISHMENT』を執筆したオ・サンホ作家が手がける一作です。
本作は、平凡に生きていたテジュン（チ・チャンウク）が、ある日突然濡れ衣を着せられ、刑務所に行くことになり、それがヨハン（ド・ギョンス）が企てたことだと知り、命をかけて彼へ復讐していくアクションドラマ。
植物デザイナーとして働きながら、忙しくも幸せな日々を送っていたテジュン。道端で拾った携帯電話がきっかけで、テジュンは何の落ち度もないのに凶悪な連続殺人事件の容疑者として理不尽に逮捕され、終身刑の判決を受けてしまいます。
信じてくれていた恋人や家族などすべてを失い、過酷な刑務所生活を送っていたテジュンは、「必ず犯人を突き止め、償わせる」と決意。刑務所内で生き延びながら脱獄を計画し、壮絶な戦いに身を投じていきます。
善良な市民であるテジュンの平穏な日常が、誰かの手によって巧妙に操られ、唐突に殺人事件の容疑者となり崩れていくわけなんですが（ここまでで1話）展開がスピーディー過ぎて、体感秒なんです。過酷すぎる刑務所生活からの脱獄計画など、目まぐるしくストーリーが展開していくので、本当に目が離せません。
そして彼の人生を意図的に「捏造」し、完璧に操作した、事件の黒幕アン・ヨハン（ド・ギョンス）が登場！ギョンスの悪役演技はすでに鳥肌ものだし、5話からいきなり囚人を競わせる“イカゲーム”みたいなことし始めたり、囚人たちのカーレースが始まったりして、予測不能すぎるその行動が不気味で翻弄されてしまいます。
そして今作、チ・チャンウクの演技に引き込まれっぱなしなのは筆者だけじゃないはず。アジアを制するイケメンなのに、なぜあそこまで平凡にニコニコ植物育ててる人になれるんですか…？そこから刑務所でバッキバキに仕上がっていく姿も、殺人犯に仕立て上げられて人生が崩壊する過程で、静かな絶望の目つきから、復讐心が爆発する瞬間の激しい表情変化まで、目で語る演技は鳥肌もの。
チ・チャンウクVSギョンスのバッチバチの闘いと、チ・チャンウクならではのド迫力のバッキバキアクションシーン、予測不能すぎるどんでん返しのストーリーに夢中で駆け抜けてしまうこと必至！
▼配信情報
『捏造された都市』ディズニープラスのスターで独占配信中
■『あなたが殺した』
今年は『ウンジュンとサンヨン』しかり、『100番の思い出』しかり、女性同士の連帯とか絆とかを描く作品が目立ちますね～。本作の原作は、日本では2016年に広末涼子・内田有紀主演でドラマ化された奥田英朗の小説『ナオミとカナコ』。家庭内暴力に苦しむ女性たちの復讐と共謀を描いたサスペンス・スリラーです。
主人公は、親友同士の2人の女性チョ・ウンス（チョン・ソニ）とチョ・ヒス（イ・ユミ）。ウンスは幼少期からの暴力のトラウマを抱え、ヒスは夫のジンピョ（チャン・スンジョ）から日常的に暴行を受け、地獄のような日々を送っていました。
耐えかねた2人は、ヒスの夫を殺害するという大胆な計画を立てます。完璧かと思われた殺人計画ですが、予期せぬ訪問者や次々と訪れるトラブルが計画を崩壊させ、彼女たちはさらなる深い闇に巻き込まれていきます。
DV被害者の2人が「殺すか死ぬか」の極限状態で共謀するスリラーなんですが、暴力シーンは何度も目を覆いたくなるし、DVを見て見ぬふりしてる夫家族は酷すぎるしで、胸が痛すぎて「これはイッキ観はキツイな…」と思ってたんですが、後半は完全犯罪が崩れていく緊張感たっぷりのスリラー的展開に突入。しかも、「そう来るのかよ!?」というどんでん返しもしっかりあって、ラストまで猛スピードで駆け抜けてしまいました。
暴力からは解放されていたのに、犯罪からは解放されず、結局は自由を手に入れられない悲しみに、胸が締め付けられます。そして、加害者だけでなく、「傍観して沈黙することも、暴力に加担していること」、「見て見ぬふりをした人も、殺したことになること」を痛感させられます。ここへきて、“あなたが殺した”というタイトルが心に突き刺さってくるんですよね。でも、ちゃんと救いもあって。関係ない人々の温かな優しさだったり、トラウマを乗り越える力強い人々の姿だったり。韓国版独自の「赦しと再生」のテーマがグッと心に響きます。
チョン・ソニ（『寄生獣 ザ・グレイ』）の繊細さと強さを合わせ持つ力強い瞳に心つかまれ、イ・ユミ（『イカゲーム』）のDV被害者の絶望と再生をまさに体当たりで表現した演技に涙が出そうになるのはもちろんですが、なんといってもチャン・スンジョの狂気溢れる演技ですよ…。笑顔の裏に冷徹な支配欲を滲ませるサイコな演技が一級品で、ついに来年は百想の助演演技賞がきそうだな…と。（『知ってるワイフ』でチソンのキャッチーな友達役だった頃からの顔ファン。笑）演技派たちの演技合戦に息をのみ、スリリングな展開にくぎづけになる一作です。
▼配信情報
Netflixシリーズ『あなたが殺した』独占配信中
（文：DramaWriter Nana）
