第八章・寛永の危機(26)

 

 時は巳(み)の刻(午前十時)。寺への参拝者も多くなり、門前に並ぶ店も活気をおび始める頃である。

 二軒の店の間から突然火の手が上がり、西からの突風に吹かれてまた...