矢野遺跡で出土した動物の骨を説明する坂本豊治係長=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館
矢野遺跡で出土した動物の骨を説明する坂本豊治係長=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館

 【出雲】弥生時代に出雲平野で暮らした人々の食の事情が分かる企画展「出雲の弥生人 なに食べた?」が、出雲市大津町の出雲弥生の森博物館で開かれている。国立文化財機構奈良文化財研究所(奈良市)との研究成果をはじめ、動物の骨や植物の種子など約320点を展示する。観覧無料、22日まで。

 同館は2022年から奈良文化財研究所などと協力し、蔵小路西遺跡(出雲市渡橋町)の縄文土器49点と、弥生時代前期の矢野遺跡(同市矢野町)の土器48点を調査した。土器に染み込んだ脂質を取り出して分析し、調理していた食物を推測した。

 蔵小路西遺跡の土器からは、イネや堅果類、鹿、魚などの脂質を特定した。矢野遺跡の土器では、サケ科や汽水の魚類に集中していることが分かり、魚類を煮炊きしていたと推測する。

 このほか、オニグルミやモモなどの食用や栽培用の種子や、動物と魚の骨などが展示されている。

 企画した同館博物館学芸係の坂本豊治係長は「考古学と化学的な検証で、より具体的な食の歴史が分かる。山や川、海の幸を使ってどんな料理をしていたのか想像してほしい」と来場を呼びかけた。

 午前9時~午後5時(最終入館は午後4時半)。休館日は火曜日。

(片山皓平)