中国北部にある草原の小都市が世界のサプライチェーン(供給網)を揺らしている。内モンゴル自治区包頭には、世界最大の鉱山から高性能磁石の生産までレアアース(希土類)の関連産業が集積する。

 レアアースは、「産業のビタミン」と呼ばれ、家電や自動車、最新鋭の戦闘機まで幅広い工業製品に欠かせない原材料だ。米国のトランプ政権が仕掛けた関税合戦への報復として、中国がレアアース輸出を規制すると、世界中の産業がパニックに陥り、貿易摩擦の攻守は一気に逆転した。

 中国が一歩も引かない強気を貫いた背後には、40年以上かけて「伝家の宝刀」を磨き続けた長期戦略がある。その剣先は外交関係が悪化する日本へ向けられる恐れも出てきた。(共同通信=西川廉平)

 ▽中東には石油、中国には…

 北京から高速鉄道で約3時間。かつて騎馬民族の侵入を防ぐために築かれた万里の長城...