安来市出身の陶芸家・河井寛次郎(1890~1966年)の業績を伝える企画展「河井寛次郎と島根の民藝(みんげい)」(山陰中央新報社など主催)が開幕した11日、会場の島根県立石見美術館(益田市有明町)で学芸員によるギャラリートークがあった。晩年まで創作意欲を絶やさなかった河井の生涯が紹介され、参加者15人が聞き入った。
島根県立美術館(松江市袖師町)の山本麻代主任学芸員(33)が解説し、河井は幼少期に粘土遊びが好きで家の近くに窯があり「陶芸は身近な存在だった」とした。30代前半は中国や朝鮮の焼き物を参考に、表現が難しいとされた鮮やかな赤色に仕上げた作品を発表し高い評価を得たことなど功績をたどった。
さらに、日常生活での使用を考えた飾りの少ない焼き物、独創的な作品を手掛けたことに触れ、「高い評価を得ても満足せず、常に持ち続けた情熱と向上心が各年代の作品に表れている」と話した。
宗教哲学者・柳宗悦らと共に取り組んだ民芸運動に関する解説もあった。益田市高津1丁目の会社員、永嶺勝志さん(54)は「初期から中期の作品を目にすることがなかったので、とても新鮮だった」と満足そうだった。
会期は11月1日まで。開館時間は午前9時半~午後6時(入場午後5時半まで)。毎週火曜日休館。観覧料は一般千円、大学生600円、小中高生300円で未就学児無料。 (石倉俊直)