2022年7月8日午前11時31分、奈良市で安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した。現場では選挙の演説が行われ、居合わせた聴衆はおよそ300人。在任期間歴代最長の元首相が公衆の面前で殺害された事件は世界に衝撃を与えた。

 その場で取り押さえられたのは山上徹也被告(45)。母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に1億円を献金し、家庭が崩壊していた。

 昨年10月から続いてきた裁判員裁判で、被告は「教団に一矢報いるのが『人生の意味』」と明かし、安倍氏を「統一教会と政治の関わりの中心にいる方だ」と語った。

 検察は昨年12月、無期懲役を求刑。罪を問う側の検察ですら「不遇な生い立ち」と認めるほど壮絶な人生を歩んできた被告に、一般市民から選ばれた裁判員や裁判官はどのような判断を下すのか。判決は今月21日。被告の半生と安倍氏に対する心情を法廷での証言などからたどった。(共同通信=伊藤光雪、斎藤修真)

 

 ▽地獄の始まり

 山上被告は1981年、奈良県大和郡山市に生まれた。両親に加え、1歳上の兄と4歳ほど年下の妹の5人家族だった。

 しかし、被告が4歳の時、仕事の...