野党第1党の立憲民主党は間近に迫った衆院選に向け、政権公約や新型コロナウイルス対策の緊急提言などを相次いで発表、共産、社民、れいわ新選組の野党3党とも、共通政策に合意した。

 菅義偉首相の突然の退陣表明、後継選びの自民党総裁選の活発な動きに埋没してしまうとの危機感からにほかならない。立民は政策の各論だけでなく、自民、公明両党の連立政権とは違うどんな国家、社会像を描くのか、より明確にした上、共通政策に加わった党と速やかに小選挙区での候補一本化作業を進め、共闘態勢の構築へリーダーシップをとってもらいたい。

 市民グループの仲介でまとめた共通政策は、消費税減税、原発のない脱炭素社会の追求、米軍普天間飛行場の辺野古移設中止などを明記した。

 政権を奪取すれば直ちに閣議決定するという触れ込みの政権公約では、コロナ対策で30兆円規模の補正予算編成やコロナ対応の司令塔新設、日本学術会議会員への任命を拒否された6人の学者の任命、森友、加計両学園、桜を見る会問題の真相解明チーム設置などを掲げた。自公政権では実現できない政策を中心に並べたのが最大の特徴だ。

 ただ、衆院選は「政権選択選挙」で、目指す政権の枠組みもはっきり提示する必要がある。立民の枝野幸男代表は、基本政策や理念が違う共産党と連立政権を組むことを繰り返し否定。共産の志位和夫委員長は「連立」ではなく「連合政権」という言葉を用い、「閣内、閣外の両方ある」と説明している。

 共通政策を掲げて候補者を調整するからには、政権の姿を整理して有権者にはっきりと説明することが欠かせない。

 この1年半余り、自公政権がコロナ対応で失態を繰り返してきたにもかかわらず、野党の支持率は低迷。共同通信の9月の電話世論調査でも立民の支持は12・3%と、自民(46・0%)に大きく水をあけられたままだ。有権者が政権交代のリアリティーを感じていない状況を物語っている。

 その要因は、旧民主党政権時代の失敗の負の印象が払拭(ふっしょく)されていないことに加え、有権者には「批判ばかりの野党」に映り、冷めた視線を送っているのではないか。確かに政権を徹底的に追及するのは、行政監視の役割を担う国会で野党の重要な役割だ。野党にとって政権を痛烈に攻撃するのは心地よいのだろう。

 だが、有権者はもっと先を求めている。「あなたたちならどんな政治をしてくれるのか」という選択肢だ。もちろん、野党側がコロナ対策などでさまざまな提案、他の政策課題でも対案を示していると反論しても、有権者が認識していないならば、見せ方、アピールの仕方に問題があると受け止めるべきだ。

 ともすれば「敵失頼み」になりがちな体質から脱却することが何よりも求められており、対立軸となる政策を練り上げ、候補者一人一人が地道に訴えていくほかない。

 虚を突かれた衆院解散で準備が整っていなかった2014年、17年の過去2回の衆院選とは異なり、今回は任期満了で迎えるだけに、野党にとっても、「言い訳」のできない戦いとなる。

 旧民主党勢力が再結集する形で大野党になってから1年。立民は不退転の決意で今回の衆院選に臨まなければならない。