田多孝治さん(左)と訓練に励むヒエン号=境港市小篠津町、航空自衛隊美保基地
田多孝治さん(左)と訓練に励むヒエン号=境港市小篠津町、航空自衛隊美保基地

 大規模災害時に陸海空の自衛隊員とともに、航空自衛隊美保基地(境港市小篠津町)の災害救助犬ヒエン号が行方不明者の捜索に力を発揮する。災害救助犬は空自全体でも数匹しかいないエリート犬。7月の静岡県熱海市の土石流災害現場でも活躍した。才能を見いだした訓練士は末永い活躍を願う。

 ベルジアン・シェパードの雄で6歳。人懐っこい性格ながら、普段は美保基地を守る警備犬として目を光らせる。訓練士で、基地業務群管理隊警備小隊2曹の田多(ただ)孝治さん(33)=境港市出身=は「信頼できる同僚」と心を寄せる。

 2017年、入間基地(埼玉県狭山市)に警備犬として加入し、入間基地勤務だった田多さんとコンビを結成。不審者捜索訓練でにおいを即座につかみ、足場の悪い場所を果敢に進む能力の高さを見いだされた。19年秋、国際救助犬連盟の災害救助犬認定試験に合格。台風19号で被災した相模原市に派遣された。昨年春、田多さんと一緒に美保基地に転勤した。

 熱海市の土石流現場には田多さんや、体をケアする警備小隊士長の大賀直樹さん(24)=浜田市出身=とともに派遣され10日間ほど滞在した。人の気配の見当をつけ、行方不明者捜索に一役買った。

 泥が多くて歩きにくい過酷な現場で体調を崩す災害救助犬もいる中、元気に任務を全うし、訓練の成果とタフさを見せつけた。

 災害救助犬が活躍できるのは10歳前後まで。田多さんは「元気に長く活躍してほしい」と優しいまなざしを向けた。