昨年11月の本紙「こだま」欄に、一人の高校生の投稿が載った。中学1年の時、10万人に1人の確率で起こる脳出血を患ったこと。左半身まひとなり、つらいリハビリを重ねて学校に戻ったこと。支えてくれた人への感謝と恩返しの気持ちをつづった真っすぐな文章が心の片隅に残っていた。
高校3年で大学を目指して勉強中とあった。卒業した今どんな思いでいるのだろう。益田市の斉木柊哉さん(18)を訪ねた。セブ島への短期留学、英語の弁論大会出場、小児がん支援の募金活動など、左半身の不自由さを感じさせないほど活発に動いた高校生活を笑顔で振り返ってくれた。
やっとの思いで中学校に戻った当初、みんなと同じことができない現実に打ちひしがれた。「何で俺が…」。前を向かせてくれたのは、付きっきりで指導してくれた熱い先生であり、やりたい意思を尊重し常に見守ってくれた母だった。
朝ドラのせりふにもなったやなせたかしさんの詩を思い出す。絶望の隣にそっと腰かけた希望-とは偶然ではなく、周りにいる人が引き合わせるのだと思えてならない。本人は希望を与える側になりたいと教育で起業する夢を追う。
聞けば、志望大学から合格通知は届かなかった。諦めずに好きな英語を学べる専門学校に進学し、大学編入を目指すという。「病気のおかげで挑戦する癖がついちゃったんです」。夢膨らむ旅立ちの春が訪れている。(史)














