新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年度に10歳未満の子どもの医療費が他の年齢層に比べて大きく減っていたことが、厚生労働省のまとめで分かった。医療機関での感染を警戒し、保護者が受診を控えさせたとみられる。
20年度の1人当たり外来医療費(医科)は、全年齢では対前年度比4・0%減だったが、0歳以上5歳未満は23・8%減と、年齢層別(5歳刻み)で最大の減り幅だった。5歳以上10歳未満も19・0%減。入院でも全年齢の減り幅3・3%に対し、0歳以上5歳未満は14・7%、5歳以上10歳未満は18・3%で、他の年齢層より際だって大きかった。
月別で見ると、初めて緊急事態宣言が発令された20年4~5月は外来・入院とも全年齢層で減少。5月の0歳以上5歳未満の外来は51・7%減だった。6月以降、15歳以上は持ち直しの傾向となり、ほとんどで減り幅が1桁かプラスに転じた。一方、10歳未満は外来・入院とも一度もプラスに転じず、全ての月でマイナスだった(21年3月はコロナ禍前の19年3月比)。
外来・入院に歯科、調剤を加えた20年度の全国の概算医療費は3・2%(1兆4千億円)減の42兆2千億円。受診控えのほか、コロナ患者受け入れのため不急の手術を控える医療機関も多かったことが背景にある。手洗いや消毒が浸透し、インフルエンザなどコロナ以外の感染症患者が減ったことも影響した。