高校生への新型コロナウイルスワクチンの接種を促そうと、島根県内で高校や特別支援学校の立地する16市町のうち12市町が、優先枠の設置や予約段階での配慮といった独自の取り組みを実施している。受験や就職活動に伴う県外移動の増加を見越した対応で、全国的に10代以下の感染が目立つ中で生徒の不安解消につなげる。 (佐々木一全) 

 「面接前に打ててよかった」。夏休み中に2回の接種を終えた松江市内の県立高校3年の男子生徒(18)が安堵(あんど)感を漂わせた。10月上旬に広島県内で自動車製造業の面接を受ける予定。感染拡大の第5波で同県は政府の緊急事態宣言が出たため、友達や家族から心配する声があった。

 特別支援学校を含む公立と私立で県内最多の17校が立地する松江市は、夏休みに合わせて7月22日から9月4日までの間、希望する生徒や教職員計3900人の接種を実施。大田、飯南、川本、邑南、津和野、海士の6市町も、共同生活で感染リスクの高い寮生活の生徒などを条件とした先行接種を進めた。

 優先枠は設けないものの、公立7校、私立2校がある出雲市は、受験などに伴う県外移動を控えた18~19歳の予約を一般よりも2日早め、9月13日に開始。雲南市は生徒や教職員の予約を基礎疾患のある市民と同じ7月26日から始め、江津市は高校生の接種時間を夕方や土日に優先的に確保した。

 学校単位で独自に接種を進めるケースもある。

 石見智翠館高校(江津市渡津町)は、校内の会議室を会場にした集団接種を実施し、7月11日から計4日間の接種日を設定。最終日の10月3日には全校生徒(617人)の半数が2回の接種を終える見込みだ。崎野允司教頭は「生徒の安心感につながるのが一番だ」と話す。

 8月の県内の感染者数(629人)の21%は10代以下。県教委の野津建二教育長は各自治体の対応に「ありがたい取り組み」と感謝を示した上で「高校生の将来に関わる問題でもあるので、ぜひ優先していただきたい」と述べた。