東日本大震災から15年の節目に、事故後の東京電力福島第1原発(通称1F)で作業員として働いた体験を描いた竜田一人さんの傑作ルポ漫画『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』の文庫版(上・下巻)が講談社から刊行された。原発内部で働いた日々を、過度な演出を排して淡々と描いた本作は、2015年まで単行本全3巻が刊行されてベストセラーとなり、これまで7カ国語に翻訳されている。

 職を転々としながら売れない漫画家としても活動していた竜田さんは震災後、被災地のためになる仕事に就きたいと考え、1Fで働き始めた。これまで「お世話になった会社に迷惑がかかる」と覆面で取材に応じてきた。今回の文庫化では「竜田一人」と名乗って現場取材に入った様子を最新話として収録し、覆面を外してメディアの取材に応じた。なぜ素顔を明かしたのか。数年ぶりに見た現場...