太陽に照らされた宇宙船オリオン。月の右奥に小さく地球が見える(NASA提供)
太陽に照らされた宇宙船オリオン。月の右奥に小さく地球が見える(NASA提供)

 1957年、ソ連(現在のロシア)が人類初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げた。これには核兵器に転用できるロケット技術が使われていた。先を越された米国にはパニックに近い危機感が広がった。後に言われる「スプートニク・ショック」だ。
 
 米国は米航空宇宙局(NASA)を設立してアポロ計画で巻き返しを図り、69年にアポロ11号が人類初の月面着陸に成功。ミサイル競争で揺らいだ米ソのパワーバランスは辛うじて保たれた。宇宙開発は大国の覇権争いという裏の顔を持つ。

 その後半世紀以上、人類が月を目指さなかったのは、ソ連崩壊に伴う「東西冷戦の終結」が大きい。時が流れて中国が登場し、月面着陸を計画。新たな覇権争いに、月への旅は再び巻き込まれた。

 米ソの競争には子どもも巻き込まれた。両国は宇宙をテーマにした記念切手を発行し、世界中にばらまいた。手元の切手帳にも残っているが、なかなかのデザインで、宇宙への関心を刺激するには良い宣伝材料だったと思う。

 先週、米国の有人宇宙船オリオンが月を巡って帰還。月に住むとか火星探査基地とかは、人類にとって火急の用事には思えないが、過去の宇宙旅行にはコンピューターや保存食などの技術を発展させた功績もある。再び子どもの夢と科学技術への興味を呼び起こせるなら、覇権争いの裏事情を差し引いても、新たな冒険を応援する意味はありそうだ。(裕)