「トイレに行きます」

 「昼ご飯食べます」

 「片付けます」

 「読書します」

 大手企業に勤める宇都宮市の会社員、水野光一さん(31歳、仮名)は、1カ月ほど、自分の行動を分刻みで報告し続けた。チャットの送信先は、自分を容疑者として調べている警察官だと信じていた。しかし、実際は詐欺グループだった。

 水野さんは逮捕されたくない一心で、言われるがまま指示に従い続け、ビデオ通話を12日間つなぎっぱなしにした。恐ろしい日々だった。そして、現金1600万円をだまし取られた。

 水野さんは2月、記者の取材依頼に応じ、「仕事帰りなら」と近くのカフェに来てくれた。うつむきがち...