土砂災害警戒区域・指定基準の例
土砂災害警戒区域・指定基準の例
土砂災害警戒区域・指定基準の例

 8月の大雨による各地の土砂災害で損壊した家屋87戸の約1割が、自治体が指定した土砂災害警戒区域の外に立地していたことが24日、共同通信の調査で分かった。いずれも崖崩れによる被害。土地の傾斜や崖の高さといった指定基準を下回る場所が多かった。豪雨が激甚化する中、区域外でも被災の危険性が高まっていることが浮き彫りになった。

 

 土砂災害警戒区域は、住民の避難態勢を整えるため都道府県が国の指針を踏まえて調査し、指定している。

 国土交通省の9月16日時点の被害集計を基に、一部損壊以上の家屋被害があった18県41市町に聞き取った。被害が確認された87戸のうち、千葉、高知、佐賀、長崎、熊本、鹿児島各県の計8戸が警戒区域外に立地していた。

 8戸はいずれも崖崩れによる一部損壊で、土砂が家の壁にぶつかるなどした。避難しなかった住人も多かったが、人的被害はなかった。

 うち5戸は「傾斜度30度以上で、崖の高さ5メートル以上」といった基準を下回っていたため、区域指定されていなかった。千葉県の2戸は未指定だったが、基準をわずかに超えている可能性があり、今後調査を進める。長崎県の1戸は指定手続きを進めていた。

 国交省の担当者は、指定基準は事例の検証や科学的知見に基づき見直される可能性があるとした上で「現行ルールでは基準を満たさなければ指定できない。過去の災害発生場所をハザードマップに記載するなど、区域指定とは別の方法でも住民に周知してほしい」と説明している。

 8月の大雨で発生した土砂災害による家屋被害87戸は、43戸が崖崩れ、37戸が土石流、7戸が地滑りによるもの。被害の規模別では、全壊6戸、半壊9戸、一部損壊72戸だった。

 

クリック

土砂災害警戒区域

 崖崩れや土石流、地滑りなどで住民に危害が生じる恐れがある地区。土砂災害防止法に基づき、都道府県が地形図などを使って危険箇所を抽出し、現地調査を踏まえて指定する。全国の指定区域数は3月末時点で66万3258。市町村はハザードマップに記載するなどして住民に周知し、避難態勢を整備するほか、高齢者施設などでは避難確保計画の作成が求められている。