こたつに鍋が置かれると、匂いに誘われて一人、また一人と、おわんや酒瓶を手にした学生が集まってくる。宅配の荷物が積み上げられ、本やがらくたが散らばる廊下の一角でかれらは鍋をつつき、酒を酌み交わしながら、よもやま話に花を咲かせる。目を移すと、黙々と掃除を続ける者や、ゲームに没頭する者、通りがかって一言二言、言葉を交わす人の姿も。それぞれが思い思いの時を過ごし、やがて夜が更けていく。
100年以上続いてきたその生活の場から、人の姿が消えた。
現存する学生寮で国内最古とされる京都大の「吉田寮」(京都市左京区)の「現棟」から3月末、寮生が一時退去した。大学は4月14日、現棟を建て替える方針を発表。一方で、隣接する「新棟」に居住を続ける寮生側は、歴史的建築としての価値を尊重した補修と今後のあり方を巡る話し合いを求め、約880...













