出発式に登場した車両と「い~にゃん」=島根県飯南町下赤名、道の駅「赤来高原」=
出発式に登場した車両と「い~にゃん」=島根県飯南町下赤名、道の駅「赤来高原」=

 島根県飯南町赤名で自動運転サービスがスタートした。4日の出発式では、鮮やかな青色の電気自動車が道の駅「赤来高原」に登場した。中四国地方では初の自動運転サービス。運転手がいなくても本当に大丈夫だろうか?乗り心地は?早速、乗って確かめてみた。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 

 道の駅での出発式が終わり、運行がスタート。少し緊張しつつ、乗車する。2人掛けのシートが前後に3列並んでいる。定員は6人で、前列には運転手が常駐するため乗客は4人まで。白色のシートは思ったより厚みがあり、座りやすい。前の座席との距離も近すぎず、ゆったりと座ることができた。

勝手にハンドルが
 地面に設置された「電磁誘導線」を車が感知し、自動で走行するシステムで、スタッフが誘導線上まで運転した後、ハンドルから手を離し、自動運転が始まった。ぐるぐると勝手にハンドルが回る光景に感動していると、ピピーっと音が鳴り、停車した。道路には「止まれ」の文字と停止線。停止線がある部分やバス停では、自動的に停車するようプログラミングされているという。左右から来る車や信号は認識できないため、信号機のある交差点や車が行き交う交差点では運転手が手動で運転する。

横から見た車両=島根県飯南町下赤名、道の駅「赤来高原」

 走行時の揺れが少なく、何より走行音が静かで驚いた。時速12キロのゆったりとしたスピード感も心地よく、のどかな風景をのんびりと楽しむことができた。途中、前方に運送トラックが停車しており、運転手が手動運転に切り替えた。誘導線から外れた場所では自動運転ができないため、運転手が手動運転でよけた後、再び自動運転に切り替える。

 15分かけて周回を終え、発着点である道の駅「赤来高原」に到着した。時速12キロの低速走行のおかげで、心地よい風を感じながら、ゆっくりと流れる景色を楽しむことができた。停車システムや運転手の同乗のおかげで、安心して乗っていられるのもうれしい。

プログラムに従い、自動でハンドルが動く

高齢化率45%
 自動運転車導入の背景は、地域の高齢化がある。10月1日時点の飯南町の人口は4,673人で、うち45.6%に当たる2,132人が65歳以上。島根県全体の34%と比べると10ポイント近く高い。近年、運転免許を返納する高齢者が増えているが、バスの便も少ない地域で、全員が代わりの移動手段を用意できないのが現状だ。買い物弱者や地域交流減少などの問題を解消したい町が、公共交通が貧弱な中山間地域で自動運転サービス普及をめざす国土交通省の事業採択を受け、準備を進めてきた。

来場者を乗せて、いざ発車


 運行ルートは3種類で、道の駅「赤来高原」をベースに、役場、郵便局、ショッピングセンターなどを通る。最長ルートは2.7キロで、約30分で周回する。運賃は1回200円で、1カ月分の定期券は千円。高校生と障害者手帳を持っている人は半額で、中学生以下は無料。2千円の回数券を購入すると、11回乗車できる。運営主体は町で、運行は、地域でタクシーやバス事業を担う赤来交通(飯南町野萱)に委託。平日は10便、休日は6便運行し、各便1組以上の利用を目指す。

 この日、途中から同乗した地元住民の男性(53)は「80代の母親が利用予定なので、どんな感じか気になって乗ってみました。ゴルフカートのような感覚で、安心して乗れるなと感じました」とにこやかに話し、さっそく定期券を購入していた。

飯南町のマスコットキャラクター「い~にゃん」

名前は「い~にゃん」
 自動車の愛称は、町のマスコットキャラクターの名前を冠した「い~にゃん号」。8月に町が愛称を募集し、集まった27点の中から迫田来飛(らいと)さん(赤来中3年)のアイデアが選ばれた。車両の名前を募集中と知り、「い~にゃんのように、広く住民に親しまれ愛される存在になってほしい」との願いを込めて名付けた。住民に「これ、い~にゃん」と言ってもらえるサービスになるのか、今後の展開が楽しみだ。