政治家の言葉は内容の良しあしだけでなく、行動の有無が問われる。それは首相に就任した岸田文雄氏もしかりだ。政策や指針がいかにすばらしくても、実行できないのであれば、政治家としての能力を褒めることはできない。

 岸田氏の言葉のセンスはどうだろう。自称「人の話をよく聞くこと」が特技だそうだが、はたして「人に話を聞かせること」もお得意なのか。

 自民党総裁選で、岸田氏は「自民党のガバナンス改革」を掲げた。ガバナンスは一般に「健全な統治」を意味する。党役員の任期制限や中堅・若手の登用を約束したこともあり、岸田氏は「ガバナンス改革」という言葉で長老支配の排...