収蔵品の雨漏り対策をする浜田郷土資料館の小松原豊館長。浜田氏は新たな歴史資料館を代替施設に位置付ける=浜田市黒川町
収蔵品の雨漏り対策をする浜田郷土資料館の小松原豊館長。浜田氏は新たな歴史資料館を代替施設に位置付ける=浜田市黒川町

 浜田市黒川町に立つ浜田郷土資料館は老朽化が著しい。館内の一部は雨漏りが発生し、1万2千点を超える収蔵品は傷む恐れがある。市民から寄贈を受ける歴史・文化資料は年間約200点。収蔵場所は満杯で、会議室だった部屋に詰め込んでしのぐ。

 1960年築の旧社会保険事務所の建屋を活用し、84年にオープン。小松原豊館長(75)は雨漏り対策の梱包(こんぽう)材をかぶった寄贈品を見やり「雨漏りだけでなく、基礎部分が沈下している。大きな地震が来たらひとたまりもないだろう」と言う。

 代替施設として市が整備計画を進めるのが、浜田歴史資料館(仮称)。2025年度の開館を目指す。

 もともと00年に構想が持ち上がり、市は計画を具体化しようと検討を進めたものの、財政負担を理由に断念。

 現市政に移行後、15年11月に立ち上げた浜田城周辺整備検討会で、施設整備に賛同する声が出たことを受け再び動きだした。

 

 建設費の圧縮

 市は17年3月の市議会定例会で、御便殿(殿町、現在の浜田城資料館)横を建設地とした総事業費11億2800万円の関連予算案を提案したものの、建設費や施設の必要性に疑問を呈され撤回。市世界こども美術館(野原町)を増改築する形で整備する計画で現在進むという曲折をたどる。

 市は新築ではなく既存施設の増築により、建設費を約7億5千万円に圧縮できると試算。

 財源は実質負担が3割程度に抑えられる過疎債に加え、ふるさと納税を積み立てた基金を取り崩すことで一般財源の持ち出しはしないとの考えだ。

 22年度に始める設計に向け、まとめた基本計画案によると、資料の保存継承の拠点▽ふるさと教育の拠点▽市民・観光客らの交流拠点|の三つの視点で、浜田の創世から現在までの歴史を時系列で紹介する常設展示や、ふるさと教育の推進に取り組む施設とする。

 

 丁寧な説明を

 展示や活用法を協議する専門検討委員会(12人)からは方向性に否定的ではないものの、運営体制を巡る疑問の声が上がる。

 施設の詰めの議論はこれからだが、市は人件費を1100万円と見込み、こども美術館と兼務の館長と、正職員と臨時職員の計3人とすると説明する。

 これに対し、委員で川原和人・前島根県埋蔵文化財調査センター長(70)は「大切なのは学芸員などの中身だ」と述べ、コストばかりに意識が傾いていないかと指摘する。

 そもそも、整備には基金からの拠出に加え、運営費で財政負担が発生する。市民向け説明会では計画に賛成する声があった一方、事業費を子育て施策などに充てるべきだとの反対意見も出ただけに、市には必要性や検討の経過を丁寧に説明することが求められる。