変電所火災による停電の影響でJR線の運転見合わせが続き、タクシーを待つ大勢の人たち=10日午後6時、JR赤羽駅前
変電所火災による停電の影響でJR線の運転見合わせが続き、タクシーを待つ大勢の人たち=10日午後6時、JR赤羽駅前
火災のあったJR東日本の変電所=10日午後、埼玉県蕨市(近隣住民提供)
火災のあったJR東日本の変電所=10日午後、埼玉県蕨市(近隣住民提供)
変電所火災による停電の影響でJR線の運転見合わせが続き、タクシーを待つ大勢の人たち=10日午後6時、JR赤羽駅前
火災のあったJR東日本の変電所=10日午後、埼玉県蕨市(近隣住民提供)

 10日午後、埼玉県蕨市にあるJR東日本の蕨交流変電所で火災が発生した。停電で山手線や京浜東北線、埼京線など、東京や埼玉を中心に首都圏の在来線10路線が一時運転を見合わせ、利用客約23万6千人に影響した。11日は始発から平常通り運行した。

 県警や消防によると、10日午後0時55分ごろ、蕨交流変電所で「爆発音が聞こえた」と近隣住民から119番があり、約3時間半後に鎮火した。けが人はいなかった。

 JR東によると、山手線や常磐線、武蔵野線などは約1時間後に運転を再開。京浜東北線大宮―赤羽間や東北線(宇都宮線)東京―大宮間、高崎線東京―大宮間の上下線は午後8時すぎまでにいずれも運転を再開した。上野東京ラインなどでは駅間に計5本が停車し、乗客の救出に最大で約2時間半かかった。宇都宮線と高崎線では東北、上越の両新幹線による振り替え輸送が実施された。

 同変電所は基幹変電所に位置付けられ、複数の変電所を通じ首都圏を走る各路線に電気を送っている。県警によると、変電所の変圧器などを収納しているトランス室が焼けた。火元とみられ、県警は11日、消防とトランス室を実況見分した。

 県警やJR東によると、火災発生時、変電所内は無人で、施設の出入り口とトランス室は施錠されていた。外部からの侵入の形跡はなく、作業ミスもなかったことから、JR東は「機器の何らかのトラブルが原因とみられる」と説明している。首都圏で7日深夜に最大震度5強を観測した地震との関連性は「不明」としている。

 国土交通省は10日、JR東に、原因究明と再発防止を口頭で指示した。

 乗り入れている全路線が一時運転を見合わせたJR赤羽駅では10日、改札前で立ち尽くす人や「どうしよう」と電話する人の姿が見られ、駅前のバスやタクシー乗り場には100人以上が列を作った。さいたま市大宮区の無職女性(75)は「自宅に帰りたいが、代替手段があるのかも分からない。影響がいつまで続くのか」と困惑していた。

 変電所近くのマンション2階に住む会社員佐々木幸男さん(64)は「ボーンという音と真っ黒な煙が上がった。焦げ臭いにおいもした」と話した。