松江市島根町加賀の大規模火災を受け、市が焼け跡の土地を一部買い取り、道路を拡幅する対応の素案をまとめたことが13日、分かった。集落の再生に向け、住まいを失った被災者が帰ってきやすいよう、インフラ整備で地域の防災力を高める。
火災では、民家が密に接した集落の構造が延焼につながったとも考えられている。素案では、1メートルほどの幅しかない集落内の道路を幅4メートルに広げる。整備延長は70メートル。地域住民の要望を踏まえ、災害に強いまちづくりをテーマに集落の再生を促す。住宅同士の間隔を取って延焼を防ぐほか、消防車が通りやすいよう道路の拡幅を盛り込んだ。
8月22日に被災者や地元関係者向けの説明会を開き、おおむね理解が得られたという。今後、用地買収などに向けて個別に交渉や協議を進める。
市都市政策課の服部広課長は「地域のみなさんと協力して、一日も早く帰ってきやすい環境整備に努めたい」と話した。説明を受けた島根公民館の田中豊館長は「道路拡幅はありがたい。より便利で安全な案になるよう地域全体で考える必要がある」と歓迎した。
火災は4月1日に発生。建物被害は民家、市所有の建物で全焼22棟、部分焼2棟、ぼや8棟、焼失面積計約2573平方メートルだった。
(片山皓平)