短歌 宮里勝子選

菜園を縁取り囲ふ韮の花雨後の日差しに白さ際立つ        江 津 岡  八重

 【評】韮の小花は一本では目立たないが球根で広がるのでいつしか密集する。雨上がりの畑は花も葉もみずみずしく、畑を囲む花の白さはまるでレースで縁どられているようです。見たままではなく心の目で見た表現が適切。

庭石をぬらして過ぐる通り雨萩は丸葉に雫転がす        隠岐の島 高橋 恭子

 【評】下句の着想に心を動かされる。里芋の葉の露は歌になりやすい傾向がありますが萩の葉は小さく新しい...