「授乳中は赤ちゃんの目を見て話し掛けてあげることが大事です」

 いつどこでもらったか忘れたが、育児中のメディア利用に警鐘を鳴らすリーフレットが手元にあった。テレビやスマートフォンから離れ、ゆったりと子どもと向き合うべき、という。

 言われなくても、子どもが生まれたらスマホはどこかに置いておいて、じっくり子と向き合おう、なんて思っていたときもあった。

 だが、それは理想にすぎず、実際は困難だった。以前、本欄でも書いたが「ながら授乳」以外の選択肢はない。第2子の授乳は特に深刻だ。

 2歳の娘は授乳中でもお構いなしに、次々に要求してくる。冷蔵庫を指さして「よーじゅーと(ヨーグルト)食べる」、絵本を持ってきて「コレ読んで~」、おむつ外しの練習中でもあり唐突に「おしっこ~!!」なんてこともある。その都度、息子を置くと「ギャン泣き」するので、乳に吸い付かせた状態のまま片手で抱え、もう片方の手で娘の世話、が日常茶飯事。授乳しながらゆったりと赤ちゃんと向き合う、なんて不可能に近い。

 娘が保育所に行っている平日の昼間は、息子と向き合う絶好のチャンス。と思いきや、授乳しながらテレビを見たりスマホをいじったり、食事を取ったり。もちろん、しっかり向き合って授乳するときもあるけれど、触れ合ったりコミュニケーションを取ったりするのは授乳以外の方が多い。授乳時は、息子も乳に集中しているから、母にとっては絶好の休息時間ともいえる…なんて、胸を張って言えることではないのだが。

 寝る前の授乳はもっとひどい。眠くなった2歳は非常に機嫌が悪く、母の抱っこを占領したがる。息子は乳を吸いながらでないと寝付けず、授乳は必須。息子を抱いて授乳していると必ず抱っこをせがむ娘。片膝に娘、もう片方に息子の「半分こ」を提案しても「イッパイだっこ!」(自分だけ抱っこしてほしい、の意)と拒否される。

 なので、息子は脇に置いて乳だけ差し出し、全身は2歳に独占させるという非常にきつい体勢を強いられる。これは一体何の修行なのか。そう思いつつ、夜は更けていくのだった。