総選挙が終わり、いよいよ国会での論戦が始まる見通しだ。衆議院解散直前の岸田文雄内閣では、保育士、看護師、介護職などのケアワーカーの処遇改善を行うために「公的価格」の引き上げが示されたものの、その直後に「経済成長してから分配する」と早くも頓挫をにおわす発言があった。とはいえ、働く者を支えるケアワーカーがバーンアウトするのでは社会も経済も持たなくなる。解決すべき大きなテーマとなるだろう。
ここでいう「公的価格」とは、保育であれば「公定価格」、看護であれば「診療報酬」、介護であれば「介護報酬」を指すとみられる。それぞれに保育園や病院、介護施設の運営費を計算するうえでの単価が示され、そのなかに人件費が含まれる。たとえば保育の場合は、公定価格の基本的な部分で人件費が8割を占めていることから、公定価格が引き上げられれば人件費分も増額されて保育施設の収入となるわけだ。
ただ、この公的価格の引き上げには注意が必要だ。なぜなら、...
【今週の視点論点】ケアワーカーの処遇改善 構造問題を抱えたまま実現しない / ジャーナリスト 小林美希
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