緊急宣言新指標のポイント
緊急宣言新指標のポイント

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が8日に会合を開き、感染が再拡大した際に対策の強化や緊急事態宣言の発令を判断するための新たな指標を議論することが6日、分かった。従来の4段階に分けていた感染状況の分類を5段階に変更。医療体制の確保を重視する内容で、入院患者数などを予測して、数週間後に逼迫(ひっぱく)する予兆がみられた場合には宣言を出すよう求める。

 

 感染者数による段階分けはしない方向だが、一部の自治体から判断材料に入れるべきだとの要望があり、8日の会合で詳細を検討する。

 国内では、人口の7割以上がワクチン接種を終え、発症や重症化を防ぐ薬も登場した。今後は感染者が増えても医療現場への影響は比較的小さくなると考えられるため、現状に合わせて見直すことにした。

 現在は新たな感染者数や病床の使用率など7項目の指標に基づいて、4段階で感染状況を評価する仕組み。1週間の人口10万人当たり新規感染者数が25人以上となった場合などがステージ4に相当し、宣言発令の目安となってきた。

 関係者によると、新たな指標は医療の逼迫度を重視し、5段階に分類することを検討している。分類法は最終調整中だが、レベル0や1は医療体制に負荷がなかったり、問題がなかったりする状態。レベル2は一般医療と新型コロナ医療の両立に負荷が生じ得る状態を示す。

 レベル3は、数週間後には一般医療に制限が必要なほどの負荷が生じて逼迫すると予測される状態。コンピューターによる病床数の予測モデルなどを活用して、このレベルにあると判断される場合には、緊急事態宣言を出すように求める。

 レベル4は確保病床数を超えるほどの感染者が発生するか、その直前の事態で、分科会はこうした状況にならないよう強く求める方針。

 

 新型コロナの感染指標 都道府県が対策を強化したり、政府が緊急事態宣言を発令したりする際の判断材料。確保病床の使用率や入院率、人口10万人当たりの1週間の新規感染者数やPCR検査の陽性率など7項目がある。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が昨年8月にまとめた。政府は、この指標が「ステージ4」(爆発的感染拡大)になることなどを目安にして総合的に宣言発令を判断してきたが、ワクチンや治療薬が普及したことを踏まえ、分科会で見直し作業を進めている。