出雲市役所=出雲市今市町
出雲市役所=出雲市今市町
出雲市役所=出雲市今市町

 任期満了に伴う4月4日告示、11日投開票の出雲市長選は、12年ぶりに3人以上が立候補予定者として名乗りを上げ、前哨戦が熱を帯びている。いずれも無所属新人の飯塚俊之氏、小豆沢貴洋氏、川光秀昭氏による事実上の三つどもえとなりそうで、各陣営が知名度の向上や発信力の強化、組織づくりを急ぐ。(松本直也、月森かな子)

 出雲市長選は2009年が三つどもえ、13年が無投票、17年が一騎打ちの構図だった。今回は現職の長岡秀人氏=3期=が退任を表明。これまでに新人4人が出馬表明した。

 市議会の自民党系会派に所属していた飯塚氏は、12年間の議員経験や農林水産振興策などを強調。自民党県連、公明党県本部、連合島根、市農政会議など約80団体から推薦を得た。組織力を生かして浸透を図るが、地盤の旧平田市以外では知名度が低い。さらに有権者数の5割(約7万6千人)を占める旧出雲市内では現職に続いて旧平田市から候補を出すことに不満が根強いため、自民党県議らが人物本位で考えるよう訴え、地域間対立の打ち消しに懸命となっている。

 市中心部の経営者仲間が中心となって支える小豆沢氏は、教育や子育て、福祉施策の充実などを主張する。親交のある団体や企業、高齢者サークルに足を運び、週末は支援者と共に住宅街を回る。地元の旧出雲市内はほぼ一巡したものの、それ以外の地域にはアプローチが行き届いておらず、旧平田市内はほとんど手つかずだ。党籍がある自民党組織の支援は得られず、無党派層の獲得を目指してSNS(会員制交流サイト)での発信強化を模索する。

 同市西林木町で進む新市立体育館の建設事業の再検討を訴える川光氏は、自民党を離党し、市内全域で1日2~4回程度、住民との対話を中心としたミニ集会を重ねて支持拡大を狙う。当初は市議選での再選を目指して準備を進めたが、2月に入って急きょ市長選へのくら替えを決めたことで地元・大社町の後援会組織が解散。支援態勢の再構築を迫られ、組織だった活動は十分にできていない。

 市長選を巡っては、吉田博義氏も出馬の意思を表明したが、市議選に立候補する可能性もあると話し、態度を明確にしていない。

立候補予定者(表明順、敬称略)

飯塚 俊之 55歳 元出雲市議

小豆沢貴洋 46歳 建設会社社長

川光 秀昭 62歳 出雲市議

吉田 博義 49歳 総合請負会社役員